父と50年ぶりの再会③~勇気
父との電話
葛藤の末、父へ書いた手紙の内容は…
何度も何度も、書いては消して、また書き直す。
こんな書き方は嫌われるかな。
こんな書き方は、何かの詐欺だと間違われちゃうかな。
失礼な言葉は使ってないだろか。
何枚も破いて捨てた。最後に残った一枚はとても、シンプルな手紙だった。
ご無沙汰してます。
○○様の娘の、みゆきです。
もしも、一度だけ逢っても良いと思って貰えるなら、連絡してください…
携帯の電話番号と、
私の仕事の名刺を入れた。
(今どきの高齢者を狙う詐欺だと思われないように…)
そして、旅行出発3日前にポストに投函した。
翌日の夕方
知らない電話番号から着信があった。
(あまりにも早い。早すぎて、心の準備ができていない。)
電話をとることができないまま、不在着信が残る。
留守録のランプがついた。
それでも、携帯を握ったまま、固まってる自分がいた。
また、電話が鳴った。
とれない。
怖い。
夫が、運転をしながら、私の姿を横目で見ていた。
かける言葉がないんだろう、
何も言わずに、私の行動を見守ってくれていた。
恐る恐る留守録を聞いた。
年老いた夫婦が、電話の向こう側で、『これを押したらええんやなー。』『そうそう。』と、二人が話す声が再生された。
涙が溢れた。
かすかに聞こえる父の声。
生きててくれた。
嬉しかったよ。とっても。
車は、お寿司やさんの駐車場に入った。二人で、中に入る。
注文を取りにお姉さんが来た。
私は何を頼んだのか覚えていない。
夫が、『電話かけておいでよ。』と言ってくれた。
『そうだね』
急いで外に出て、恐る恐るリダイヤルをした。
父が出た。
『みゆきさんか?』
『はい、そうです。ご無沙汰してます。』と、なぜか敬語でしか話せない私。
父から、泊まる場所とホテルの名前を聞かれた。偶然というより、必然だったんだろう。
そのホテルは、父の家から歩いて、10分の場所だった。
私は、聞いた。
『私が行くことで、お父さんの今の家族に迷惑はかかりませんか?』
父は、
『何もかからんよ。それよりも、嬉しいよ』って言ってくれた。
私は、こっちの方のお土産で欲しいものないかな?と聞いてみた。
何でも好きなもの、買って行ってあげたいと思ったから。
でも、50年ぶり会う娘に、普通に考えても何か買って来て欲しい…とは言えないよね。
ここで、ようやく冷静になった私がいた。
電話を切ったあと、心がとても暖かかった。
こんな感じ、初めてかも。
長かった、
こんなにも、あっさりと事が進むのなら、もっと早くに連絡すればよかったのに…
後悔
でも、後にわかること
もっと早く連絡していたら…
私は今、この世にはいなかったと思う。
つづく。
ぼちぼち書いてます🍀