父と50年ぶりの再会⑫
対決
少しの間だけでも、
そっとしてくれればよかったのに‥
今でも、そう思う。
わたしが、虐待され支配を受け続けていた母から生まれていないこと、
母が、真っ赤な他人だと知った翌日の夜、
前日、ほとんど眠れず、
仕事して帰って来たわたしは、心も体もクタクタで、夫と早めに寝ることにした。
夜9時半頃だったと思う。
インターフォンが鳴った。
嫌な感じがした。
的中、
父と母が、鬼のように怖い顔をして立っていた。杖を持って、フラフラして歩いている父。
(危ないから、こけてケガをしたら、血小板が減ってるから、命に関わるからあれだけ、気をつけて、と言ってきたやん。)
わたしの性格的にも仕事上でも、
真っ赤な他人だとわかったけど、
この危なっかしい老いてしまった2人を、インターフォンごしで追い返すことはできず、
家に通した。
怖い顔をしたまま、勢い良く威圧的な態度で、家に入り、
リビングの椅子に座った。
夫は、離れたとこで、何も言わず静かに座って、見守っくれていた。
まず、母が切り出した。
『あなたに迷惑かけすぎたみたいだね、それで怒ってるんでしょ、
これからは、あなたに迷惑かけないように二人で細々とやっていくわ!
ごめんね、申し訳なかったね』
いつもの、脅しと泣き落とし作戦だった。
その時、父は横で大きくうなづいていた。
沈黙
わたしの心の葛藤、
いうべきか、いわないべきか、
いつものように、事を荒立てないように、相手をこれ以上怒らせないように、
ちっちゃくてどうでもよいようなことで、わたしがすねてるだけだったことで終わらせるために、
少し言い合いして、最後にお互いに悪かったところを認めあって、何事もなかったようにおさめるか、
心の葛藤が続く。
我慢、
でも、母は、
わたしの気持ちを整理する時間が待てず、
言ってはいけない言葉で、わたしに追い討ちをかけてしまった。
『そんなにも許せないことをしたんだね、
親子の縁を切りましょう、だから最後に言いたいこと言いなさい!』
と、母が言った。
その横で、父が、わたしの家の鍵を返してきた。
終わった、
わたしの心に巻かれていたがんじがらめの鎖が、このときに解き放たれた。
それからのわたしは、
母(偽物)に対して、50年間のわたしの苦しみを言葉にして、ぶつけた。
でも、残念ながら、義理の父③が、この偽母を全力で必死で庇おうとするため、
偽母はなんの弁解も、
そして、真実を話すこともしなかった。
その時の会話‥
偽母
『親子の縁を切りましょう、最後に言いたいことをいいなさい!』
‥‥わたしは、義理の父③父に告げた。
『今から、わたしはこの母と二人で話がした。父を巻き込むつもりもないので、口を挟まないで欲しい。』
‥‥そして、偽母と対決がはじまった。
わたし
『わたしに言いたいことがあるでしょう、話さないといけないことがあるでしょう、
親子の縁なんて、元々なかったんでしょう。』
偽母
『何を訳のわからないこというてるんの?
』
わたし
『墓場まで持っていくつもり?わたしは、誰なん?誰の子供なん?あなたはわたしを生んでないでしょ?』
偽母
『沈黙‥‥‥‥』
義理の父③
『何を言うてるねん。お前は俺の○○家の子供やろ!』
わたし
『お父さんは黙ってて!関係のない話やから。』
偽母
『なんでそんなこと言うてるん!あなたは私の生んだ子供に決まってるでしょ。』
わたし
『じゃあ、いつ何処でわたしを生んだん?どこの病院?なんて名前?言ってみてよ。』
偽母
『○○市内の病院やったと思う、でも、そんなこと言わなあかんの?話す必要ないでしょ。』
わたし
『人には、自分の出生を知る権利があるばず。なぜ、隠すの?なぜ、騙し続けるん?誰のために、誰を守るために嘘をつき続けるつもりなん?』
偽母
『沈黙‥‥』
‥‥‥‥隣の部屋で、無言でわたしを見守ってた夫が一言、
『お母さん、○○県まで行って、調べてすべてわかってることですから、本当のことを言ってやってください!』と。
偽母
こんな夜更けに、わたしの家に押し掛けて来た時の勢いはなくなり、
うつむいたまま、テーブルに人差し指をもじもじと動かしている。
涙を流すわけでも、怒るわけでもなく、ただただ、指を動か続けている。
でも、身体全体は小刻みに震えている。
義理の父③
『もう、止めたってくれ!お母さんが可哀想や!こんなに震えて、、』と泣き出した。
‥‥‥‥このとき、わたしの過去が、哀しすぎる記憶が甦る。
こうやって、いつも、わたしを二人で攻撃する!母が、わたしを虐め、支配する。わたしが、父に助けを求めようとしても、
父は、母を必死で守る。
どれだけ、理不尽で間違っていても、何もかも悪いのはわたしで、わたしは、この偽母のペットとして今までの人生を歩んでいたんだ。
怒りが込み上げてきた。
わたし
『あなたは、わたしに親として愛情をくれたことあった?いつもいつも、わたしわ攻めて、追い詰めて、追い込んで。
子供の頃から、怒ってばかりで、嫌がることばかりして、
わたしの身体は汚らわしい、から触れることも、抱き締めることもしなかった。
わたしの食べたものは、汚いから、いつも皿は分けられた。
わたしとあなたは、何一つにていない。
おかしいと、思ってた。でも、まさか、戸籍を改ざんするとはおもわなかったよ。
いったい、あなたはどこの誰なん?』
偽母
『わたしが、生んだ‥‥。調べたらええよ、』
わたし
『DNA鑑定はすぐにできるし、調べることも、可能だよ。
でも、調べる必要なんかない。
わたしは、あなたから生まれていないことは、鑑定しなくても、わかるよ。』
義理の父③
『もう、止めてくれ!帰ろう、これから、二人で細々とやっていくわ!
迷惑かけて悪かったな、
さようなら、、』
『もう、見送りはいらんから。』
最後に偽母が、玄関口で、
『わたしが、あなたを生んだから。』
と、叫んで帰って言った。
泣いた、
わたしがの心は、震えるくらい泣いた、
みんな、心の中で、死んだよ。
わたしの過去は、すべて嘘、
後ろを見るのが怖い、、
怖くて怖くてたまらない、
つづく